「困ったな。」

タイトルは瞑り聞くの中で僕が一番好きな台詞です。
二位が「困ってんのか?」で、三位が「いやあ、教えないっす」です。
ちなみに、殿堂入りが「どけろ」で、須藤飛鳥特別賞が「こんばんみ」となっております。

そんなこんなでどうも、こんばんみ。須藤飛鳥です。

Twitterでも書かせてもらいましたが、改めまして、
しもっかれ!舞台企画第2弾 目を瞑り足音を聞くにご来場頂きまして誠にありがとうございました。
大盛況の中、無事に終われたのはしもっかれ!のみなさん、客演のみんな、スタッフさん、そして、ご来場頂いた全てのお客様のおかけです。ありがとうございました。

散々Twitterでも書きましたが、本当に楽しかったんですよ。
聞チーム、瞑チーム関係なく、みんなが協力して、最高のお芝居を作れたんじゃないかと思います。
もうね、ロスしまくりでね、なんなら書いてる今もめちゃくちゃ寂しくてね、今すぐみんなに会いたいんですけど、まぁ無理な話なんでね、こうしてブログに八つ当たりしてる訳ですよ。
あとは、裏話とか公演中の出来事とかは色々書いてはきたたけども、単純に瞑り聞くというお話の感想とか書いてなかったなーと思って。ていうか、書きたくなって。
筆をとった次第であります。
いかんせん僕が聞チームだったので、聞チーム主体の感想にはなると思いますが、少しでも皆様に何か届いたら幸いです。
それでわ。



目を瞑り足音を聞く。
単純にさ、物語自体めちゃくちゃ良くないですか?
前の記事にも物語自体が好みだとは書いたんですけど、本当にドンピシャで好きなんですよね。
なんか、封鎖的な?閉じてるというか、狭いというか、突き刺さるとダメージがでかいみたいな話好きなんですよね。(上手く言い表せない。)

たとえば、言い方悪いですけど、誰か病気の人がいて、頑張ってたんだけど亡くなってしまって、それでも残された人は頑張る。みたいな話あまり好きではなくて、感動するし、伝わるんですけど、そりゃ感動するよっておもっちゃうんですよね。
そういうのよりも、例えば何でもいいけど、プリンが好きだとか、水族館に行きたいとか、その人しか知らない何か、その人だけが抱えてる気持ち、心の底の底の一番大事なもの、そういうものを感じられたり、共感できたりするものが好きなんです。
その辺が、僕にとっては瞑り聞くはドンピシャでした。

瞑り聞くの登場人物たちはみんな何かをもって、抱えていましたよ。
夢、劣等感、同情、コンプレックス、友情、愛情、犠牲、幸福、苦悩、葛藤エトセトラ。
片山村という小さな小さな世界の中で、みーんな何かと向き合ってた。
きっと、誰か一人でも違う何かを知っていたら、あの結末にはならなかったと思うんです。
でも結局そんなことなくて、ああなっちゃったんですね。切ない切ない。


的場と斎藤。
彼等のいう紳士淑女ってのは、まぁぼくには全くなんのことだか分かりませんが(笑)、ふたりの中には明確それがあるわけです。それが急になくなって、こっちでーすなんて言われて別のもの渡されたらそりゃ困惑しますよ。まぁほぼ八つ当たりでしたけど。
でもやっぱり生きてく上ですがる物ってのは必要なわけで、それを決めるのは自分なわけだけども、それに気づくタイミングが遅かったんですかね。死んでるし。
工藤と仲良くなれる未来もあったと思うだよなー。
なんか、気あいそうじゃん、あいつら。


村田と橋本と佐々木。
こいつらは一番分かりやすいね。各々コンプレックスがあって、もしくは、何も無くて。やっとこれだっての見つけたのに否定されちゃう。
三人ともさ、自分が思う自分を見つけて、これが私だよ!ってやるからさ、他人を受け入れる余裕なんてないんだよね。というか見てないの。だから佐々木も受け入れてもらえないし、小久保にも受け入れてもらえない。自分しか見てないのに他人が見てくれるわけないのにね。
でもさ、必死だったんだよ。そうでもしなきゃそこに居られなくてさ、消えちゃいそうでさ、誰かに見つけて貰いたかったんだよ。見えてるよーって言って貰いたかったんだよ。
彼等は、恋人ではなく、友を見つけるべきだった。
苦しみを、喜びを共有できる他人を。傷の舐めあいだとしてもいいじゃない。前じゃなくて、横を見ればよかったんだよ。
だって、あんなに仲よさそうだったじゃん、三人とも。
と、僕は思います。

あ、でも村田くんに関して言えば僕は特に役作りとかしてないです。
いやね、客観的に見たらこうなんだろうなと思うけど、役者として、物語の役割として考えたときはこんなことなんにも考えてませんでしたよ。
ただひたすらに騒ぎたおして、出来たらお客さんに愛されたらいいな。そんな感じです。
的場、斎藤から受け取ったバトンを3人でメインの人達に繋げる。そのためにもわめき散らして、引っ掻き回して、少しでもあとの人たちが引き立ったらいいなと思ってました。


工藤と根本と小久保。
この人たちはどこから話せばいいのだろう。
とりあえず、僕は根本みたいなポジションの人大好物です。
主人公の親友ポジション、なかなか報われない人。
ちょっと違うけど、昔月9でやってたプロポーズ大作戦藤木直人とかもう最高。
他人の為に自分がいるみたいな人たまらないよね。

この際どうやって工藤と根本が友達になったかとかどうでもよくてさ、どんな始まりがあったにせよ、根本にとっては工藤は大事な友達だったわけですよ。それこそ、家族よりも大事な。その友達が困ってたら助ける。どんな結果になろうとも、助ける。これって凄いことだよ。口ではいえても簡単にはできない。それを根本はやってのけた。だからこそ、工藤が最後迷ったときは辛かったと思う。
きっと根本自身もさ、わからなくなってるんだよ。自分は何がしたいのか、どうしたらいいのか。友達が困ってたら助けるのは彼にとっては当たり前でさ、考えるとかないんだよ。それが当然なの。だから小久保にも強くいれるし、ぶれないの。
でもさ、工藤がぶれちゃったんだよ。根本にとって自分より大事な工藤がぶれたらさ、根本もぶれちゃう。今までしてきたこどか工藤を苦しめて、今までしてきた事を否定しなきゃ、工藤を苦しめる。
そんななかポツリとでちゃうんだよね。
「ふざけんなよ」って。
もう止まんないっすよ。だって止めるとか知らないんだもん。今吐いてることがなんなのかすらわかんないんだもん。口が動いて、体が止まらなくて、そんでもって
「どけろ」
ですよ。
いやぁ、辛い。辛いよ。
んで最後に
「困ってんのか?」
でしょ!?
かっけーなぁ、根本。村田じゃないならやってみたかった。

工藤もさ、凄いよね。
人ってさ、一番大事な何かを守る為なら何だって出来ると思うの。工藤はそれをまさにそれをやってのけたわけでさ。
あいつ絶対バカじゃん?そんな工藤がさ、六年も耐えて、ノートまで作って、恋人まで殺そうとしてさ、並大抵じゃないよ。修羅だよ修羅。
小久保に真実を伝えるときもさ、小久保に図星突かれるときもさ、本音ボロボロ零れちゃってるけどさ、ちゃんと耐えるんだよ。貫くんだよ。もうすげぇよ。
結果的に、耐えられはなくてさ、本当はもっと大事なものがあってさ、いや、たとえ魔が差したんだとしてもさ、それでも頑張るんだよ?凄いやつだよ。そりゃ、小久保も好きになるよ。
最後の最後にさ、自分が死ぬと分かって、記憶喪失なんだって。もう少しなんでって小久保に甘えるじゃん?
でもさ、またまた最後の最後で
「いやあ、教えないっす」
って意地はるんだよなぁ。涙とまんねぇはボケ。
かっこすぎるわ。いやぁ、本当カッコいいよ、工藤。

そんなイケメン二人に囲まれていた小久保は幸せだったのかなぁ。
俺一個すげー嫌いな小久保の台詞があって、根本に嘘がばれて、囲まれるでしょ?
そんで小久保が、私も今困ってるよ?私には手を差しのべてくれないの?って聞くのがすげー腹立たしくてさ、
いやお前二人を置いて逃げといて何言うとんねん!!って思うんだよ!!
思うんだけどさ、そりゃ言うよね。
だって死ぬかもしれないんだよ?なんなら殺されかけてた訳ですよ。そりゃ言うよ。助かろうとするよ。当たり前だよ。それが人間ですよ。ムカついてすいません。

そんでさ、逃げた先で工藤と会うんだよな。
そこではさ、逃げないんだよ。
根本に追い付かれてもさ、逃げないんだよ。
二人が戦ってる間逃げれるのに。
工藤が殺してくれって言ってもさ、逃げないんだよ。
一度逃げた人間て、逃げ癖がつくんだけどさ、小久保はそれに勝つんだよね。向き合うんだよね。目を、瞑らないんだよね。
小久保も色々あったんだと思うよ、分かんないけどさ、なんか散々流されて流されて。でも最後、頑張るの。
工藤がさ、記憶喪失のふりする時もさ、色々悟ってるとは思うんだよ。でもさ、頑張るの。必死に。
恋人なんだよって、ずるい手まで使ってさ、頑張るんだよ。
それでも、それでも、最後の最後、一人なっちゃってさ、どうしようもなくなっちゃってさ、寂しくて、言うんだよ。
「困ったな」
って。
涙とまんねぇはボケ。なんなら今も書きながら泣いてるわ!!
あの台詞に全文詰まってたよ。本当にグッときた。


幸せとは程遠いハッピーエンド。
そんなお話だったけども、物語としてはそこで終わりだけども、あっちでは幸せになってくださいよ。





ってな感じですかねぇ!!!
うん、長いね。後半何言ってるんだよって感じだし。
本当はちゃちゃっと書いて、このあとにギジレンの事とか書こうと思ってたのにもう無理だよ。
ギジレンのことはまた今度書こう。

いやー、本当いい話だ。いい芝居だ。いい座組だったよ。
寂しさを紛らわす為に書いたのに、余計に寂しくなっちゃったよ。
本当、



困ったな。





須藤飛鳥